第四章

7/13

137人が本棚に入れています
本棚に追加
/151ページ
「俺の団はこうやって任務を遂行してきた。もし納得できないというなら俺の命令だと思って諦めてくれ。不満があるのならば、王都に戻り次第、王国騎士団の本部に報告しても構わない」 「………分かりました」  バイオレットはそれ以上反論せず理解はしたとだけ意思表示をし、積まれた銅貨の束を無言で受け取った。  タイサは肩をすくめながら小さく笑うと、エコーに視線を送る。それに気付いた彼女はバイオレットの肩に手を置き、銭湯の準備をするために一緒に部屋に戻っていった。 「………いやぁ、隊長も大変ですな」 「ボーマ、今から慰めに行けば好感度が上がるんじゃないか?」  皮肉を込めて笑うタイサの言葉に、ボーマはいやいやと椅子を揺らしながらお手上げの仕草を入れる。 「止めておきますよ。お堅い女性が柔らかくなるのは結構面白いんですが、あれはもう教科書ですね。どのページにも模範解答しか載っていません。本当にウチの騎士団に溶け込めるんですかい?」  ボーマは面倒そうな顔をしながらタイサの返事を待った。 「さぁな。何はともあれ彼女次第だろう。その辺お前はどう思う? ルーキー」  突然話を降られたルーキーが自分を指さし、動揺しつつ腕を組んで一生懸命考える。 「すみません、自分には良く分かりません。でも、とりあえず彼女が1人にならないように色々と話しかけてみようと思います」 「「いい答えだ。じゃぁお前に任せよう、ルーキー」」  タイサとボーマがルーキーを指さし、それで行こうと決めつけると天井に向けて笑い声をぶつけてから席を立った。 「もっと、冗談が上手く返せるようになりたい………」  ルーキーはしまったと両手で頭を抱えながら首を振り、テーブル席に1人取り残された。
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

137人が本棚に入れています
本棚に追加