「…むおーん…」 

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不動産業を営む友人が、担当物件に残されていた録音機器の音声を紹介します。これは まるで“聞いてくれ”と言わんばかりに、部屋の“目立つ場所”に置いてあったそうです。以下の文章がその内容となります。 (多少のノイズと舌打ちとイラつきを抑えれない怒声が始まり、そこから焦りながらも、 何処か半笑いな、男の声が流れる。) ええっと、これを聞いてくれている人、あー、もう鬱陶しいな。何だ?この虫 (頭を乱暴に掻きむしるような音と、自嘲気味の笑い声があがる。) まぁ、いいや。もう、あんま関係ねぇし。誰かわからないけど、始めに謝っておきたい事は 「すいません。」 という事です。ただ、もう本当に聞いてほしくて。俺だけじゃ… (低い嗚咽とすすり泣きの声が入り、ヤケクソ気味の笑い声が混じる。) 限界なんです。何処に行っても、どんな時でも、駄目だ。お祓いもしましたし、お札も貼った。それでも駄目だ。 ネットで似たような話あるのか調べたけど、全然わからない。もう、憑かれました。いや、発音が違うな。疲れました。とにかく聞いて下さい。今は、まだ大丈夫な内に… 始まりはあれです。てか、あれしかないな。絶対にそうだ。先輩達と行った 心霊スポット巡りです。俺達の地元に“夜泣き岩”って言う場所がありました。 何でも昔、非業の死を遂げた女の想いが石に宿り、すすり泣く声が聞こえるって言うんです。 県道を外れた林の中に、その場所があるって言うんで、俺と先輩2人は、 そこに向かいました。 夏だって言うのに、妙に涼しい夜でした。正直言って、俺達は夜泣き岩の噂なんか 信じていませんでした。ここら辺は有名なアオカンスポット、今は使わねぇか? この言葉。野外で愛し合う男女の、“あの時の声”… くらいに考えてたんです。あわよくば、その現場を覗けんじゃないか?なんて、 アホな事、期待したりしてね…   
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