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第二話「しばらく家においてよ」
スマホのアラームで目が覚めた。午前六時ジャスト。今日は一回目のアラームで起きられた。
昨日遅くまで裕樹と話をしていたから起きられるか心配だったのだけれど、誰かが家に泊まっているというのはいい緊張感があったらしい。
昨日はたくさんのとりとめもない話で盛り上がった。私が大学に進学するのを機に離れて暮らすようになってそれきりだから、私たちには話すことがたくさんあるのだ。
両親の離婚のこと、私の大学時代の話、裕樹が高校時代に頑張ったこと、私の就活の苦労話などなど。
お酒の買い置きがなかったから代わりに炭酸飲料を飲みながら、日付が変わるまで話し続けた。
一時を回ったところで、慌てて順番にお風呂を済ませて、それから布団に入った。私の部屋は三十平米の2Kで、奥の部屋を私は寝室に使っている。だから、裕樹にはキッチンと続きになっているほうの部屋に布団を敷いて寝てもらった。
「昔は一緒に寝たのに……俺のこと、男だって意識してるの?」なんてことを裕樹は言ったが、それは記憶の捏造だ。私たちが姉弟になったとき、裕樹は八歳で、もう誰かと一緒に寝る年頃ではなかったのだから。
一緒に寝ないのは、ベッドが狭いからだ。それに私は寝相が悪い。そのことを言うと、裕樹は何かを思い出したのか冷蔵庫の近くにおとなしく布団を敷いて寝た。
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