第七話「俺、デザートのこと考えてたわ」

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   あれから、私は布団を買い換えさせられた。裕樹曰く、元彼が使った……というよりそういうことをした布団をいつまでも使っていて欲しくないらしい。それはまぁ、ごもっともな話で、仕方なく某お値段以上のあのお店で新しい布団を買った。  本当ならベッドも買い換えてしまいたいと言われたけれど、それはさすがにボーナスまで待ってもらうことにした。  裕樹はダブルベッドを買うと張り切っているけれど、奥の部屋がベッドで埋まりそうで、それはちょっと嫌かもしれない。  だから、私は密かに新しい部屋を探している。裕樹がどこに勤務するかはわからないけれど、どこからでも会いに来やすい博多周辺で探すのもありかなと考えている。  今度は2Kではなく、広めの1LDKか2DK狙いにするつもりだ。築年数に目をつむれば、手頃な賃料で立地の良い物件を見つけられるだろう。  新しくてオシャレで広くて好立地な物件には、いつか裕樹と二馬力で働いて住むのが、私の今の密かな野望だ。  誰かと一緒に住むための家を探すことになるなんて、少し前の私には想像できなかったけれど、今はそれが楽しくて仕方がない。  男と暮らすなんてこれまで考えられなかったのに、相手が裕樹となると何の抵抗もなくなってしまった。  そういえば、同僚の子が「いくら仲良くても兄さんと暮らすなんてあり得ない」と言っていた。でも、私は最初からあの子がいつまでうちにいようが構いはしなかったから、もしかしたら気がついていないときから私にとって裕樹は弟ではなかったのかもしれない。
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