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俺が心配していると先輩は俺たちを部屋へと誘う。
部屋の中は食べた後やモノが混在していて、とても人を招くような部屋の状態ではなかった。
「適当に座ってくれ……」
数日前のテンションとはまるで違う先輩は、生気を吸い取られたかのように元気が無く、うな垂れるような感じでベッドへと腰掛ける。
その様子を心配そうにみる俺とは対照的に、Yはキョロキョロと辺りを見回した。
「……ここの部屋、家賃が三万だったんだ」
「さ、三万!?」
先輩の衝撃の一言に俺は目を丸くした。余りにもこの近辺の部屋より値段が破格だ。
「この裏に大きめの用水路があるんだ。そこで数十年前に溺死したばあさんがいて、そのばあさんがこのコーポに化けて出るらしい。だから、なかなか住み手が居なくてこんな値段なんだとよ」
俺はその話を聞いて段々と顔が青くなっていく。
「いわゆる、“いわくつき”って奴ですね」
そんな位雰囲気を壊すかのようにYが楽しそうに言う。
「そうだ。俺は最初面白がってこの物件に決めたんだが、それが間違いだった」
先輩はそう言って顔を覆う。
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