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蝉の泣き声が聞こえ、ぎらつくような日差しの中、墓石の前でスーツ姿の(仮名)根本進一郎(23)が手を合わせている。
「2年経ったけど…ずっと後悔しているよ…」
これから話すのは今からちょうど2年前に起こった出来事です。僕が大学4年生の時、(仮名)藤川真弓(21)という彼女がいました。真弓はどこか控え目な子ですが彼女の方から僕に告白をしてくれました。
3回目のデートの日。川岸でバーベキューの支度をしている真弓。お気に入りの某有名メーカーのカメラで真弓の写真を撮っていました。カメラに目線を向け、微笑む真弓。その綺麗な眼差しにシャッターを押す指が止まりませんでした。ファインダー越しに見る彼女はとても魅力的で。しかし真弓の表情が一瞬曇りました。カメラとは違う方向を見始め「今、撮らないで!」
「えっ?」シャッターを思わず押してしまった後、指を止め、カメラを下ろしました。
「ごめんなさい。ちょっとトイレに」
真弓は動揺した様子でその場を離れました。
真弓が見ていた方向を見ましたがそこには川が静かに流れているだけ、特に何もありませんでした。後でわかったことですがこの川は昔、有名な戦国武将が戦さをした場所
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