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赤ん坊と呼ばれるぐらいに幼い子どもというのは、とにかく何もない一点をじっと見つめるものです。
まるで、大人には見えない何かを見ているようにして、見つめるものなのです。
ウチの子どももそうでした。
ウチはマンションです。
高層ではありませんが、それなりの景色が楽しめるくらいの高さのところでした。
ある日の休日。
妻が買い物に出ていて、私が1人で子どもを見ていたときのことです。
そんなマンションのリビングでのんびりしていると、子どもがじっと窓の方を見ているではありませんか。
またか。
私は思いました。
「どしたのかな~? 怖いの見えるのかな~?」
ふざけて私が言うと、
ゆっくりと子どもがうなずきます。
私は笑って子ども視線の先を見ました。
視線の先は隣のマンションの屋上です。
「何かいるのかな~?」
私はそう言って屋上を見回しました。
女がいました。
女と目が合いました。
女は笑って……、
そうです。
確かにニッコリと寂しそうに笑ってから……、
そのまま、飛び降りました。
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