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ハクチョウさんのとなりには、赤いぼうしをかぶった白いとりさん。
このとりさんが、キツネさんの逃したツルさんでした。
「どうして 戻れないんですか? それじゃあ キツネさんが困ってしまいます。 今日は大切な日なのに」
『今日が大切な日だって?
ニンゲンの子供さん。今日は何の日か知っている?
きっとどこかでは 誰かさんの 誕生日。
どこかでは 誰かさんの 独り立ちの日。
どこかでは 誰かさんの 恋に落ちた日。
だけどね、アタシにとったら
今日は我が子が 死んだ日なんだ。
そんな日に、この子はアタシのところへ飛んできた。
きっとこの子は、アタシのために 姿をかえて 戻ってきた 我が子なんだ。
だからね、ニンゲンの子供さん。
この子のことは、諦めておくれ』
ポロポロとビー玉の涙をながすハクチョウさんを、ツルさんは抱きしめました。
ぼくは お母さんを 思い出しました。
「わかりました。じゃあ、ぼくはかえります」
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