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「どうせ、国家レベルの秘密とかなんとか言いたいんだろ?」 「いや、これは人類の存亡にかかわる秘密だ」 「これはこれは、ご大層なこって」  アクセスを禁じられた以上、鍵を掛ける情報の内容なんざどうでもいい。あとは、報酬の額次第だ。 「で、人類のためにオッサンは俺にいくらまで出せるの」 「前金で500万円、成功を確認できた際に1500万円」 「……それが人類全体の値段ってか。安く見積もられたもんだな」  俺が鼻で笑うと、男は汚物でも見るような視線で俺を見た。 「戸立て屋はお前だけじゃない。お前が拒否しようが失敗しようが、代わりはいくらでもいるんだ」  依頼者として以前に、人として付き合いたくない野郎だ。正直、金額に不満はなかったが、このまま引き下がるのが癪になった。 「前金で1000万円、成功確認時に2000万円だ」  俺の言葉に、男は心底汚らしいという顔をした。 「いいだろう。今すぐ振り込んでおく。ターゲットの詳細は、あとで確認してくれ」  それだけ吐き捨てて、男は足早に会議室を出て行った。  依頼者の素性を聞くつもりもない。どうせ、政府の高官かなにかだろう。聞いたところで、自分の動きが鈍るだけだ。俺は会議室を閉じるために、目をこすって無理やりに上体を起こした。     
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