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俺の夢に入ってきた妹は、大きな扉を1枚置いていく。そこが、ターゲットの夢への入り口だ。ターゲットと直接コンタクトし、眠ったところを夢にもぐりこんでリンクを作るのだ。ターゲットが男性の場合、エージェントは女性であるほうが仕事がしやすいと言われている。比較的簡単に、ターゲットと枕を並べて眠ることができるからだ。
「睡眠薬は使ってないから、そんなに厄介な夢にはなってないはずだよ」
扉の上に座って、妹が言う。
「ちょっと早漏気味だったけど。なんかの研究してる人みたい。悪夢に巻き込まれて解剖とかされないようにね」
現実世界では、3年以上会っていない。妹は、夢の中では天使の翼をつけることにしているらしい。けれど案の定今日も、その翼にはいくつかの血痕が飛び散っていた。
俺はあいまいな返事を返し、扉の中の世界に身を投じた。
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