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駐車場に急いだ。時間はたっぷりあるのだが、初日だ、着いてからゆとりを持たせたい。
ジェイは自分が車を持っていることをすっかり忘れた。修理には出したが、売るしかないだろうと蓮は思っている。ジェイがあの車に乗れるとは思えない。
いつも入るカフェの前で下ろした。
「先に入って俺にはブレンド頼んでくれるか?」
「ブレンド。俺はなに飲んだらいい?」
「お前はカフェオレ」
「分かった、ありがとう!」
駐車場にジェイを連れて行きたくない。今のジェイには致命的な場所だと思う。車を入れて外に出る。
カフェに向かった。ジェイが何度も入り口を見ているのが分かる。入ってすぐに手を上げた。立ち上がって来ようとするのを手で制する。隣に座って手を繋ごうとするから、その甲を軽く叩いた。
「ダメ。ここからは課長だ」
「はい」
背筋が伸びる。雰囲気が落ち着いた。
(大丈夫かもしれない)
コーヒーを飲み終えて会社に向かった。
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