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世界の理を超えて。
「はぁ……地球の余命もあと7日……1週間後の午後6時にはこの場所にもうこの星はない」
とある宇宙センターの待合室で少女……神坂 藍は1人そう呟いていた。
「真二に悪いことしちゃったな……拓磨には何も言えなかったし」
昨今地球では異常気象が続いていた。そしてある天文科学者が導き出した答えは地球の余命はあと1年これであった。
その答えは見事に的中していた。何事にも終わりは来る人はそう認めざるを得なかった。しかし人は生に対しては強い執着心を持つ生き物で生き残る術を作った。
ノアの箱舟────人はコレから打ち上げるロケットをそう呼んだ。
(こんな事なら私はこの星で死にたかった、拓磨にも想いを伝えて……断られても良かったし──いや、断られたくは無いんだけど、でも悔いだけは残したくなかった)
ノアの箱舟には選ばれた生物のみが乗ることができる。藍は偶々、そう本当に偶々選ばれてしまった。
本来は喜ぶべきなのだろう、何故ならまだ生きることができる。だが彼女は違った。幼馴染の少年に想いを伝えてなかった。いや、伝えられなかったからだ。
(私のバカ、何であの時言えなかったんだろ)
彼女の脳裏には昨日家を出る前の光景がよぎっていた。
藍は見送りに来た拓磨に過ぎ去り際に少し涙ぐみながら「ごめん」とそう一言発し、車に乗り込みその場を離れて行った。
(あの時もし、好きだって言えたらどうなってたのかな?)
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