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天鎖の方は知らないようだったが、照姫は明らかに天鎖の事を知っていた。
照姫は少なくとも俺が生まれてから一度も屋敷から出たことはない。
だが天鎖を知っていたという事は、天鎖が覚えていない程幼い頃、物心つく前の親の庇護下にいた頃に会っていたという事。
天鎖も見た目通りの年齢でないことには気付いていたが、まさか照姫と知り合いかもしれないと気付いた時にはゾッとした。
俺の、俺だけの天鎖が奪われるかもしれない───
だから俺は決めた。
天鎖が俺から離れたくないと思わせようと。
だが、あいにくその心配は無用だった。
どうやら天鎖は超のつくレベルの面倒くさがりだったようで、俺の差し出す今の生活───何から何まで至れり尽くせりな昼行灯生活を捨てる気は更々なさそうだ。
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