6.心の場所

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「は、離し てっ、」 ケイは慌ててアンリの胸を押し返したが、アンリの腕は緩まない。 「抜いてあげようか、」  何を言われているかすぐに理解できず、ケイは目の前のアンリの顔を凝視した。 「なに、言ってる、の、っ」 「だってケイト、なんか可愛い反応するから、」  ちゅ、と額にキスをされる。 さっき目もとに触れたのは勘違いだったかなと思ったけれど、今度ははっきりと唇を当てられた。 「アンリ、まだ、寝ぼけてる、の、」 「起きてるよ」  アンリはくすくすと笑いながら、ケイの背骨を指でくすぐるように、つーっとなぞった。 「ゃ、っ、」  びくんっと背筋が反る。ケイは羞恥の為に、顔を真っ赤に染めた。 「すごいね、胸の方まで真っ赤になってる、」  と、アンリはケイが来ているTシャツの襟ぐりをくいっと指でつまんだ。  ケイがすぐに赤くなるのを知っていて、アンリは今までそのことを一度もからかったことはない。 頭に熱がのぼりすぎたケイは、また涙目になった。 「お、こって、る、」 「うん」  アンリの即答に、ケイはしゅんと落ち込んで、視線を伏せた。  しかし、すぐに頭を撫ぜられて、「嘘だよ」とアンリが訂正をした。 「え?」 「怒ってないよ」  ケイは伏せた視線をもう一度あげて、アンリを見つめた。
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