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「は、離し てっ、」
ケイは慌ててアンリの胸を押し返したが、アンリの腕は緩まない。
「抜いてあげようか、」
何を言われているかすぐに理解できず、ケイは目の前のアンリの顔を凝視した。
「なに、言ってる、の、っ」
「だってケイト、なんか可愛い反応するから、」
ちゅ、と額にキスをされる。
さっき目もとに触れたのは勘違いだったかなと思ったけれど、今度ははっきりと唇を当てられた。
「アンリ、まだ、寝ぼけてる、の、」
「起きてるよ」
アンリはくすくすと笑いながら、ケイの背骨を指でくすぐるように、つーっとなぞった。
「ゃ、っ、」
びくんっと背筋が反る。ケイは羞恥の為に、顔を真っ赤に染めた。
「すごいね、胸の方まで真っ赤になってる、」
と、アンリはケイが来ているTシャツの襟ぐりをくいっと指でつまんだ。
ケイがすぐに赤くなるのを知っていて、アンリは今までそのことを一度もからかったことはない。
頭に熱がのぼりすぎたケイは、また涙目になった。
「お、こって、る、」
「うん」
アンリの即答に、ケイはしゅんと落ち込んで、視線を伏せた。
しかし、すぐに頭を撫ぜられて、「嘘だよ」とアンリが訂正をした。
「え?」
「怒ってないよ」
ケイは伏せた視線をもう一度あげて、アンリを見つめた。
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