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「会わない以外の選択肢、考える気になった?」
怒っていないということを証明するように、アンリはにっこり微笑んだ。
「それ は、」
しかし、体の火照りが収まらないこの状態で、ケイには、アンリと会話をする余裕はなかった。
「あとで、考える、」
「なんで。今考えてよ」
やっぱり怒ってるような気がしたが、もう下腹部の熱ごまかしようがなくなってきていた。
「もっ、いま、わかん、ない、」
「ほんとに、ケイトが寂しいなら、おれいつでも会いに来るよ。それじゃだめなの?」
「あと、で、」
ケイはどうにか熱が引いていかないかと、ハー、と長く息を吐いてみた。
あまり効果はない。
そもそも、アンリの腕から抜け出さないと、収まるものも収まらない。
「そんなにやばいの?」
「や ばい、の……、離して、」
「離したらちゃんと考える?」
ケイはコクコクとうなずいた。
「約束だよ、」
アンリはそう言うと、ようやくケイを抱きしめていた腕を解いた。
ケイはすぐにアンリから逃げるようにベッドから出ると、バスルームへ向かった。
服を脱いで浴室に入り、シャワーコックを捻る。
水の音が浴室内を満たして、ケイは顔を覆ってその場に屈み込んだ。
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