6.心の場所

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「会わない以外の選択肢、考える気になった?」 怒っていないということを証明するように、アンリはにっこり微笑んだ。 「それ は、」  しかし、体の火照りが収まらないこの状態で、ケイには、アンリと会話をする余裕はなかった。 「あとで、考える、」 「なんで。今考えてよ」  やっぱり怒ってるような気がしたが、もう下腹部の熱ごまかしようがなくなってきていた。 「もっ、いま、わかん、ない、」 「ほんとに、ケイトが寂しいなら、おれいつでも会いに来るよ。それじゃだめなの?」 「あと、で、」  ケイはどうにか熱が引いていかないかと、ハー、と長く息を吐いてみた。 あまり効果はない。 そもそも、アンリの腕から抜け出さないと、収まるものも収まらない。 「そんなにやばいの?」 「や ばい、の……、離して、」 「離したらちゃんと考える?」  ケイはコクコクとうなずいた。 「約束だよ、」  アンリはそう言うと、ようやくケイを抱きしめていた腕を解いた。 ケイはすぐにアンリから逃げるようにベッドから出ると、バスルームへ向かった。  服を脱いで浴室に入り、シャワーコックを捻る。 水の音が浴室内を満たして、ケイは顔を覆ってその場に屈み込んだ。
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