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アンリの言っていることは、きっと正しい。
しかし、仮に正しいとして、ケイの本心が『会いたくない』ではなく『会いたい』だとして、それを認めたところで、どうしようもない。
ただ、苦しいだけだ。
「いつでも、会えない、」
と、ケイが言えば、アンリは、
「会えるよ」
即答した。
「学校、ある でしょ、」
「休んで会いに来る」
「夜中、だったら、来れない、よ、」
「タクシー使えば来れるよ」
「なんで、」
ケイはアンリがどうしてこんなに、『会わない』の選択肢を納得してくれないのかが理解できない。
平行線の問答に疲れてきて、半ばあきらめたような気持ちになり、はー、と長息して、立てた膝におでこをつけた。
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