Short story. 捨てられた子犬みたいに

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 その後、モトイはとりあえず、ケイを自宅に連れて帰った。 改めて部屋の中で見ると全身汚れていたので、バスルームに押し込み、ところどころ擦り切れた衣服を預かった。 代わりにパーカーとスウェットを貸したがモトイのサイズでは大きすぎたので、袖と裾を折ってやっていると、本当に小さな子どもを相手にしているような感じがした。  疲れているならベッドで寝てていいよ、と伝えてから、モトイもシャワーを浴びた。 しかしリビングに戻ったとき、ケイは部屋の隅のフローリングの上で丸まって眠ってしまっていた。  ――まるで捨てられて人を信用できなくなった子犬みたいだ。  モトイはケイの痩せた体を抱き上げた。その軽さに胸が軋む感じがした。  よほど疲れていたのか、ベッドまで運ばれる振動には目を覚まさない。 モトイはそっと、ケイの体をベッドの上に寝かせた。  それから、とても気が進まないことではあったが、他に相談先もなかったモトイは、胡蝶蘭の店長に連絡した。  ケイを拾った経緯を伝えると、店長は、 『その子、いくつ?』  と、重要な質問をした。 「いや、すみません。わからないです、」  少し考えるような間があいた。 『とりあえず、検査してからだな。その間に年齢と身元確認しておいて。本人から聞き出せないならプロ使ってもいいし』  店長からの的確な指示に、モトイは、はい、とうなずいた。
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