Short story. 捨てられた子犬みたいに

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 しかし結局、ケイは年齢を詐称して胡蝶蘭のホストとして雇うことになった。 それは決して最善ではないと、モトイは理解していた。  そしてケイは、モトイからの提案を、特に深慮の時間も取らず、すぐに受け入れた。  ケイがどこまで客の相手をできるのかわからなかったので、研修と称して、いったんカズキに反応を見てもらうことになった。  基本は出張サービスなので、たいていの客は好きなところにホストを呼ぶが、胡蝶蘭の店舗内にもホテル代わりに使用できるルームが設けられていて、ケイの研修はそのルームを使用した。  カズキはケイを見ると、呆れたようにため息をついてから、モトイを睨んだ。 「ほんとにこの子にウリやらせるんですか、」 「いや、うん、……」  モトイはカズキから向けられるチクチクとした視線から顔をそむけ、曖昧にうなずいた。 「中学生にしか見えない。十八って無理あるでしょ、」  カズキの言う通り、ケイは童顔で、実際の十六という年齢よりもまだ幼く見えた。 「そもそも、大丈夫なんですか」 「おれが見つけたときは、もう、自分で客取ってたっぽいから、」  だから良い、というわけではもちろんないのだが、何も知らない子どもということではないはずだ。  カズキは心底嫌そうな顔をしながら、しぶしぶとケイをベッドに導いた。 おとなしくベッドの上に上がるケイに、もう一度ため息をつく。 「できるのか確認するだけですけど、モトイさん、いちおう見ておいてくださいね」  そのくらいの責任は取るべきだろう、と言いたげな口調だった。 モトイは仕方なく、室内に設置されているソファーに腰を下ろした。 「ケイ、服、ぜんぶ脱いで」  カズキの指示の声に、ケイの表情は急に虚ろになった。 覚束ない手つきでのろのろと衣服を脱ぎ始める。 その違和感に、カズキも気づいたようで、眉を潜めている。  痩せた肢体があらわになった。カズキに膝を割られても、ぼんやりと天井を見ているだけで反応しない。 「ここに挿れられたことある?」  固く閉じたままの小さな後蕾に触れられて、ケイは無言のままうなずいた。 「ここで感じたことは、ある?」  次の質問には、ケイは不思議そうに首をかしげるばかりだった。
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