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昼
あぁ…
おはようと優しく声をかけると大きなあくびをしながらおはよう…と答えた。
時計の針は午前11時を指しているが。
「昨日もテレビ?」
「うん、まぁ」
「何か面白い番組でもあった?」アイスコーヒーを差し出しながら聞く。
多少なりともコミュニケーションを試みる。
「撮りだめてた番組だけだよ。」
そっか。
その番組の内容を聞いているのだが。
「そろそろお着替えしてね」
努めて明るく子供たちに声をかける。
「はぁい」
今日は素直に聞いてくれてほっとしている。
「あなたも朝ごはん食べてね、トーストと目玉焼きあるから」
「おぉ…」
まだ眠気なまこの夫は見ない見ない。
さっき取り込んだ洗濯物をたたみつつ、子供達の様子をみる。
上の子は珍しくばっちり!
下は…お尻のチャームが前に来ている。
「では出発までテレビをどうぞ」
慇懃に手を取るとご機嫌な様子の二人。
二人ともヒーローが好きで良かった。
洗濯物をしまってお風呂を掃除して玄関側の廊下から掃除機をかける。
夫の朝食が終わり、子供達をお手洗いへ誘導する。
下の子のズボンの前後ろを正して履かせることを忘れずに。
「お母さんまだあ?」
「もう行くよ、先に靴履いてて!」
カーディガンを引っ掴み戸締りと火の元を確認。
退屈しないように子供達のお菓子と、二人分のお着替え。
「お待たせー」と言いながら髪は手櫛で車に飛び乗る。
後部座席であくびをしている夫は見ない見ない。
「こんにちは!」
病院で受付を済ませていると看護師さんが素敵な笑顔をくれる。
「こんにちは!いつもありがとうございます!」つられて明るく返す。
お子さん達来てくれて、おじいちゃんも喜ぶねとニコニコ話してくれるこの看護師さんにはいつも頭が下がる。
「おじいちゃんこんにちは!」
上の子が声をかける。
「こんにちあ」
下の子も真似ている。
「みんな来てくれたよ!起きて!!」
さっきの看護師さんと一緒に病室に入ると、彼女はそう言って義父に声をかけた。
義父はすぐに目を覚まし、子供達を懸命に目で追う。
少しでも元気になってくれれば…
しばらくみんなで話し、病室をあとにする。
何も話さない夫は見ない見ない。
外は蝉も鳴かないほど蒸し暑い。
このあとどうする?と問いたいが、答えは分かっている。
家に着くと一人分だけカップラーメンを準備し、いそいそと食べ終える。
そしてまた、眠りについた。
何がそんなに眠いのだろう
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