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「全部、おじさんの言う通りだった。ずっと信じて、あきらめなくってホント、良かっ――」
そのとき、響の呼吸は激しく引きつり、キュウッと甲高く鳴りました。
「……っう、う」
大粒の涙が次から次へとこぼれ始めます。
ずっと我慢してきたものがはがれ落ちていくかのように。
「ごめん、なんかごめんね。勝手に感極まっちゃて。ごめん。……なんか信じられなくって……」
「大丈夫か?」
「へへっ」
頬をべたべたに濡らしながらも、彼はいつもの明るい調子を取り戻そうとしています。
唇をゆがませ、必死に笑おうとしている。声も手も足も感情を抑えきれず、ガクガクと震えているというのに。
「なんだかさ、もしかしたら全部夢じゃないかな。さっきからなんか怖くて……」
「夢……?」
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