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「あっ! もしかして、色素薄いのかな? 肌白いし、髪も真っ黒じゃないよね」
けれども響ときたら、話してばかり。彼は教科書を開いてすらいません。
いい加減にしてほしいと視線を送っても、まったく気づく気配無し。
「龍広くんって誕生日いつ?」
「じ――」
「たぶん冬場だよね? 夏、ダメでしょ? ヘロヘロになってそうだもんね」
なんだか勝手に楽しそう。
十二月、と答えることすらできませんでした。
もう話は無視して勉強しよう――と、再びテキストに立ち向かいます。
すると、響は派手な音を立ててイスを引き、立ち上がりました。
「飲み物持ってくるね! 何がいい?」
龍広のドリンクバーのグラスが空になっていることに気づいたようです。
気が利くヤツだなと感心しつつ、
「ウーロン茶でいい」
と、頼みます。
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