152人が本棚に入れています
本棚に追加
「海に行きたぁい」
宿題に追われる小学二年の息子が、ベランダ越しに有明海を眺めて言った。
「ダメよ、今日は何日だと思ってるの? 8月12日、海にはもうクラゲがいるんだから」
「くらげって、食べられる?」
「食べられない、毒あるもの」
「食用のクラゲもあるらしいぞ」
横から口を挟んできた夫を無視して、私は息子の工作を手伝う。
こうやって親が手を出すから、年々小学生の夏休みの工作や自由研究が高水準化して、子供だけでやり遂げる作品が減ってきちゃうのよね。
分かっていても、ついやってしまう。
「私の時は、誰も手伝ってくれなかったのになぁ」
首を振るキリンの貯金箱に、足の部分をくっつけながら、ある夏の出来事を思い出した。
「そう言えば、夏休みにクラゲ作ったな」
最初のコメントを投稿しよう!