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学校帰り。
涼やかな風の吹く高架橋の下を優が歩いて居ると、やたら整った顔の男子生徒が話しかけてきた。
「二年A組、瀬ノ宮優」
どうやら待ち伏せしていたらしい彼は、高圧的な感じに優の名を呼んでくる。
確か、三年に転入してきた男子だ。
名前は、王子。
いや、もちろん、王子という名前ではないのだろうが、みんながそう呼んでいるので、優は彼を見るたび、あ、王子、と思ってしまう。
片腰に手をやり立つ王子は姿勢もいいので、もともと長身なのに、更に大きく見えた。
女にしては身長のある優を上から見下ろした王子は周りの目も気にせず、言ってくる。
「瀬ノ宮優、俺と付き合え」
近くを歩いていた同じ学校の男子生徒たちが、ええっ? という顔で振り返っていた。
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