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早朝、俺は目覚ましのけたたましい音で起きた。
体操服に着替えると、1階のリビング兼食卓に行く。
「おはよう、正樹。もう少しで出来るから待っててね」
母さんはおっとり口調で白米とナスのおしんこを出してくれる。
「おはよ、母さん。いただきます!」
俺は手を合わせると、おしんこで白米を頬張る。
匂いから察するに、これから鮭の塩焼きと味噌汁が来る。もちろんそれも美味いけど、俺はおしんこさえあれば充分だ。
うちのおしんこや漬け物は、ばあちゃんが全部野菜から作っている。
採りたてをすぐに調理するからか、市販のものなんかよりも断然美味しい。
俺は小さい頃からばあちゃんのおしんこや漬け物が大好きだ。けど同級生や先輩に言うと年寄りくさいとからかわれる。アイツらどうかしてる。
おしんこは野菜と塩で出来てるからこれから暑くなるからこそ、熱中症対策としても優れてるし、漬け物だって酢とかで漬けてるから栄養価も高い。
俺がこうしておしんこや漬け物の良さを教えても、「塩分ならポテチで充分」とか、「酸っぱいポテチだってある」とかほざく。
やっぱりアイツら頭おかしい。
何言ってもポテチと返ってくる。
ポテチ真理教か。
だいたいなぁ、ポテチで塩分とれても栄養価低いどころか、コレステロールだのなんだのが良くないぞ?
あんなのばっか食ってたら太るからな。今はハンドボール部で汗水垂らして運動してるけど、高校行って部活辞めたり、社会人になって運動しなくなったら劇的に太るからな。
あちこちぶよぶよだぞ?みっともない。
俺は奴らに憤りを感じながら、いつの間にか出されていた鮭の塩焼きと味噌汁を平らげ、朝練をしに学校へ行った。
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