第3章 茨城空港、JEJ初飛行試験

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浩二と茂雄は徒歩で初号機の側まで移動した。 本日の搭乗者は七人。 浩二と茂雄以外の五名は、すでに機体横のタラップの前で待機していた。 フライトクルーは三名。 機長の長谷川は四五歳。防衛省テストパイロット出身の彼は日本で飛行可能な殆どの航空機を飛ばした経験があるそうだ。副機長の神谷は四二歳、JEJのロンチカスタマー極東航空からの出向者だ。エアラインでは査察機長の資格をもっている。予備のパイロット佐々木は三八歳。長谷川と同じ防衛省のテストパイロット出身だ。 その他に技術者としてフライバイワイヤーのソフトウェア開発責任者、安曇電子工業の香川と、安曇重工のメンテナンス責任者 高山が搭乗する。 これに浩二と茂雄の二名を加えた七名が、本日の初飛行のメンバーだ。 「長谷川君。突然のリクエスト申し訳なかったね。本日は宜しくお願いするよ」 浩二は機長の長谷川に握手をしながら声をかけた。 「びっくりしましたが問題ありません。いつも通り仕事をするだけですから」 他のメンバーとも握手を交わし、長谷川に促されるようにタラップを登った。 タラップを登り振り返ると、事業所のデッキに多くの従業員・報道関係者の姿が見える。また、遠方に数機の報道ヘリも飛んでいる。 「高橋さんはコクピットのジャンプシートに、小山内さんはエンジニアリングシートの予備席にお座りください」 長谷川にそう促されて、浩二は茂雄に「それじゃ後で」と声をかけコクッピットに入った。
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