第3章 茨城空港、JEJ初飛行試験

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機長の長谷川が左席、副機長の神谷が右席。ジャンプシートの左側に浩二が、右側に予備パイロットの佐々木が座った。浩二は席に着くと五点式のシートベルトを締めた。 「それでは、フライト準備に入ります」 「Before Engine Start Check! 」 この機体は、未だ試作機であり飛行前チェックも多岐に渡る。 例えば、飛行機の1275の測定パラメータは全て事業所内のコントロールセンターに10ミリ秒の頻度で送られているが、そのデータリンクが正しく出来ているかの確認を飛行機側とコントロール側で実施する。 「Before Engine Start Check Complete!」 エンジン始動前チェックが終了した。ここまで既に二十五分が掛かっている。 機長がカンパニー無線で呼びかける。「ガルフストリーム01、こちらはエンジン始動前チェックが完了した。離陸してサポート準備に入ってくれ」 「ガルフストリーム01、了解」 随伴機側の離陸準備が始まった。「Hyakuri Ground, JAAA01テスト随伴機です。 Request Taxi」 茨城空港の管制は、航空自衛隊百里基地側でやっている。 程なく随伴機が地上滑走を開始し、 滑走路03Lより離陸して行った。 浩二が乗ったJEJも、03Lの離陸ポジションまで移動した。 フライトクルーが最終のチェックを進めている。 「高橋さん、準備整いました。チェイサーのガルフストリームが五マイル後方に着いたら離陸します」長谷川の声に、浩二がゆっくり頷く。 ヘッドセットのスピーカーから随伴機の無線が聞こえる。後方五マイル追従位置に着いたようだ。すかさず神谷がタワーを呼ぶ 「Hyakuri Tower, JAJEJ01、Ready for Takeoff」 「JAJE01、Cleared for Takeoff 03L、ご武運を」 離陸許可が出た。
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