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第2章 真理、運命の歯車が回り出す時
2011年7月
高橋真理は唐突に目を覚ました。
両手を顔に当てながら、先程見た夢を思い出していた。
それは、先月から一週間に一度くらいの頻度で見ていた夢だった。
自分の生首って、何て夢をみるんだろう・・。
だけど、あの顔は確かに私・・・・。
でも、今では考えられない冷夏だし、ポケベルって・・?
私の知らない事がなんで夢に出てくるんだろう・・・・?
彼女は、この夢のせいで今日も三十分も早く目を覚ましてしまった。
ベッドから起き上がると、面白く無さそうに呟く。
「まったく、私の睡眠時間を返しなさいよね・・・」
高橋真理は十七歳。普通の高校生で、毎日、恋にバイトに部活に、ちょっとだけ勉強に頑張っている。最近見るこの夢に少し悩まされていたが、あまりにも非現実的な夢なので、全く怖いとは思っていなかった。
唯一、睡眠時間が短くなってしまうことが頭痛の種だ。
彼女が、登校の準備をしてリビングへ降りると母の百合が目を丸くして言った。
「まあ、最近早く起きることが多いわね。雪でも降らなければいいけれど・・・」
真理は少しカチンときたが、気を取り直してリビングを見渡して尋ねた。
「父さんは?」
百合が朝食の準備をしながら答える。
「もう出かけたわよ。昨日、言ったでしょう。今日はお父さんの開発している国産ジェット機の初飛行だって、茨城事業所に行くんだって」
真理の母、百合は今年48歳。年の割には本当に若々しくて綺麗だ。
「そうか、せっかく早く起きたのに残念・・」
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