第2章 真理、運命の歯車が回り出す時

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彼女は多くの女子高生と違い、父をとても尊敬しているし大好きだった。 真理の父、浩二は55歳、安曇重工の副社長だ。 浩二は、二十年前には小さな町工場を経営していたのだが、バブル崩壊で経営に行き詰まり、安曇財閥の会長に拾って貰った。浩二は今でも安曇会長を尊敬しており、今の仕事も楽しそうだ。そして、現在は安曇重工 航空機事業本部で国産ジェット機の開発を担当している。 「そうか、じゃあ達也のお父様も同じだね」 「そうね、一緒の社用車で茨城に行くって言っていたわ」 達也は真理と同じ高校に通う同級生で真理の彼。そして達也のお父さんは安曇重工の子会社、安曇航空機の社長で父の部下だ。 真理と達也は、東京の進学校で同じクラスになって付き合い始めたが、それまでお互いの父親が上司部下の関係とはまったく知らなかった。 勿論、二人の父親はその話を聞いてとても驚いていた。 真理は、ゆっくりと朝食を終えて最後の身支度を整えてから自宅を出た。 今日は少し早いので電車も空いていると嬉しいな。 夏の通勤ラッシュは本当に堪えるから・・。 真理は学校の最寄りの駅に到着した。結局、電車の混雑はいつもと変わらず、辟易としながら学校までは15分ほどの道のりを歩き始める。 今日も真夏日という予想で、既にこの時間も()だるような暑さだ。
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