第12章 綾の語る、安曇忠明の過去

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1986年 敦子が突然、自宅で倒れた。 検査をすると膵臓癌のステージ4であり、既に癌は他の多くの臓器に転移していた。 忠明の懸命の治療を試みたが、残念ながら余命半年であった。 忠明は、あるアィデアを敦子に持ちかけた。京子の身体を敦子に移植したいと。 敦子はまったく受け入れなかった。京子を殺すなんて有り得ない。 京子は私なのだから、あなたは京子と生きてと敦子は言った。 その年の夏、敦子は四十五歳で亡くなった。 忠明は本当に後悔した。 あんなに愛した敦子を亡くした喪失感から人が変わった様だった。 そして忠明は誓った。 「絶対、京子は守る・・」
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