第12章 綾の語る、安曇忠明の過去

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2004年 忠明は六十五歳になっていた。 また、安曇病院で手塩にかけて育てている健二は二十八歳となり、外科医として頭角を現して来た。 忠明は健二に自分の移植手術の執刀を持ちかけた。 健二も忠明と同様、新しい医療技術の試行に大きな欲求を持っていて二つ返事で乗って来た。 事故で植物状態になって以来二十年近く経つ俊明の身体だが、ほぼ冷凍状態で保存をしていた事もあり、若々しい肉体を維持していた。 十二時間に及ぶ大手術だったが、健二は無事成功させた。 また忠明は一週間程でベッドから起き上がり、一ヶ月後には仕事に就いていた。 忠明は六十五歳の頭脳に十八歳の身体を手に入れた。 一番困ったのは性的な欲求だった。 忠明は安曇大学を次席で卒業した才女、原口真紀を秘書として雇い、半年後には愛人として毎日の性的欲求を満たしていた。
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