第13章 真実、そして絶体絶命

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「じゃあ、達也は・・」 「あれは忠明よ。脳を達也の身体に移植したの。飛行機事故も達也のクモ膜下出血も全て偽装工作。飛行機には俊明の身体の移植後、保存しておいた忠明のオリジナルの身体の一部が載せられていた。だからDNA鑑定で彼の死亡が確認された・・」 「達也の脳は、この階のどこかに保存されているわ。私の首と同じく生かされてね」 不意に自動ドアの開く音がする。 「真理!」 真理が振り返ると達也が立っている。 「まったく、急に居なくなると心配するじゃないか。・・、僕と一緒に来るんだ」 真理は達也を睨み付ける。 「嫌よ。あなたは達也じゃないわ。安曇のおじさまね。だから、昔の愛人を抱いていたんだ。やっと合点がいったわ」達也は驚いた表情を見せた。 「何故、それを知った? 京子が話したのか・・? まあいい。その通り。私の身体は達也くんだが、心は忠明だからね。私は真理くんを抱いた。つまり浮気していたのは君の方って事だ」 私は頭に血が上っていた。 「父や母、それ以外のたくさんの人達を自分逹の為に殺すなんて、あなたは人間じゃないわ」 達也は笑っていた。 「人間だよ。でも特別な能力を持ったね。私が永遠に生きることが最も大事だとやっと気付いたところなんだよ。だから私の大事な京子も永遠に生かす。その代わりに君には消えてもらう。君は私が生み出した存在なのだから、私が生殺与奪権を行使するのは自明だと思うよ」
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