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第14章 陰謀は? そして運命は?
真理が気が付くと白い天井が見えた。
(私、生きているの・・・・?)
声が聴こえる。
「真理さん、気が付いた?」
真理が顔を横にずらすと京子が立っている。
その後ろに、達也が倒れた時に会った先生が立っている。あの人は・・
「これは田所先生。健二さんと言った方が良いかしら、彼が忠明を止めて貴女を助けてくれたのよ」
そうか、あの先生が健二さんだったんだ。真理は理解した。
健二はよく見ると本当に達也に似ている。でも、この人が達也の脳を移植したんだ。
(でも、何故、私を助けてくれたの?)
真理には未だ疑問を持っていた。
健二が口を開いた。
「真理さん、君を大変な事に巻き込んで申し訳ない。また僕は多くの罪を犯した。その償いはしっかりするつもりだ。」
真理は思い出したことを健二に告げた。
「健二さん、私、失神する前に聞いた綾さんの声で思い出したの。綾さんが私に送った夢の中で、健二さんが恋人だって。最後に健二さんに電話しようとしていた」
「そう、あの日・・突然、綾は行方不明になった。僕は本当に失望したよ。お陰で、今も独り身だけど・・。それが十年前に安曇病院の勤務になって、八年前に綾の声を聞いて、初めて綾に起きたことを知ったんだ。それまでは忠明を師と仰ぎ、彼に胴体の移植手術までした僕だったが、僕自身も彼に利用されていた事を知った」
健二は続ける
「本当に綾の容器の中の姿は衝撃だった。それに綾があまりにも可哀想で。でも僕は科学者だ、その時、僕は綾を必ず助けると決めた。そして安曇忠明に必ず復讐すると硬く誓った。たくさんの研究をした。その中で綾の為に心血を注いだのが、脳移植と記憶移植だ。安曇忠明には、脳移植の開発進捗のみを報告していた。そして臨床実験が完了した事を知って、彼は最後のプランを進めたんだ。達也くんと真理さんの身体を乗っ取るプランをね」
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