第14章 陰謀は? そして運命は?

2/3
前へ
/65ページ
次へ
「僕はどの様なプランで彼がこれを実行するのか判らなかった。達也君のケースは自分を殺さなければいけないからね。まさか飛行機を墜落させるとは思ってみなかったけど」 「僕は彼の言いなりになった振りをしていた。そして安曇忠明は、達也くんを嘘のクモ膜下出血で入院させ、自分の脳を達也くんの身体に移植する指示をしたんだ」 「でも僕がやったのは脳移植じゃない。記憶移植だ。達也くんの記憶を一時的に閉じ込めて、そこに安曇忠明の記憶を流し込んだ、だから実は・・」 「もしかして・・達也は眠っているだけ・・」 「その通り。達也くんは君の左側に寝ているよ」 振り向くと達也が居た。真理は少し目頭が熱くなるのを感じていた。 「今、達也君の記憶を復活する処理をしている。もうすぐ目覚めると思うけど、それは達也くんだ。そして安曇忠明の記憶は彼の元の身体に戻った」 「忠明も、もうすぐ目を覚ます。ただ既にこれまで集めた証拠と共に僕は自首するつもりだから、彼は直ぐに捕まる。そもそも死んだ人間が生きているのだし、言い訳は出来ないけどね」 「それと綾の記憶は、京子さんの脳に移させてもらった。京子さんの記憶は彼女の意志で少しずつ消えて行くことになる。今、話しているのは京子さんかな」 京子が微笑む。 「真理さん、さっきから話しているのは綾です。今、京子は眠っている。京子は、私に本来の身体を返してくれようとしているの」 真理は頷いた。 「それが、“おばさま”らしいわ」 「私達はそれぞれの半身だから、きっと仲良くなれるわね。あたなの今後の活躍にも期待しているわ」 綾が言った。真理も大きく頷いて、綾を抱きしめた。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加