第3章 茨城空港、JEJ初飛行試験

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あとは初飛行の時間を待つだけとなり、浩二と茂雄は滑走路を見渡せる社内カフェテリアでコーヒーを飲みながら話をしていた。 「小山内君。そう言えば君も、私と同じく中小企業の社長から安曇重工に転身した口だったね。どうだね、まさか、あのバブルで会社を潰してしまった私達が、こんなに技術者冥利に尽きる仕事が出来るなんて想像もしていなかっただろう?」 安曇航空機社長小山内が頷きながら応える。 「高橋さん、おっしゃる通りです」 「私はそれだけでなくて・・。なかなか子供にも恵まれず、妻と苦労している中、会長に拾って頂いて・・。その後、不妊治療も安曇病院で面倒みて頂いて、待望の子供にも恵まれました。本当に会長には一生頭が上がらないです」 浩二が目を見開いて茂雄をみた。 「えっ? 君も不妊治療を安曇病院で? 私達も全く同じだ。でも結局、私達は体外受精も必要だった・・」 茂雄も驚いた顔を見せる。 「私達夫婦も同じです。体外受精で子供を授かりました。凄いです。本当に同じような状況だったのですね」 浩二は頷きながら言った。 「その二人が父親同士の事を知らずに付き合い始めたのも奇跡だな。どうだ、婚約でもさせるか?」 「高橋さん、二人はまだ高校生ですよ」 浩二はハッとして頭を掻きながら応えた。 「そうだな、自分で言ってしまって反省しているよ・・・」 「あっ、会長がいらっしゃいました」
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