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ここみらくる村はたくさんの緑に囲まれた美しい村です。
あちこちに可愛らしい花が咲き、村の中央には綺麗な川が流れています。立派な畑がたくさんあり、牛や馬を飼っている家もありました。
いわゆる「ド」がつくほどの田舎村でしたが、空気はおいしく、風はとても気持ちの良いものでした。
ふかふかの土でできた道を歩いていくと、赤い屋根の小さな家につきました。
家の周りには季節の花が咲いていて、庭に植えてある木からは桃色の花弁が零れ落ちるように舞ってきます。
「わぁ、可愛いおうち!」
チェリィはさっそく中に突撃していきました。
「荷物はあらかた届いておりますぞ。なにか困ったことがあったらいつでも相談してくだされ」
「ありがとうございます」
お母さんは村長さんと玄関でそんな話しをしておりますが、チェリィには関係ありません。
お掃除の行き届いたぴかぴかの廊下を駆け回り、適当なお部屋を覗き込みます。窓からは村の景色が見渡せました。
前に暮らしていた家よりも小さいけれど、チェリィはすぐにここが気に入りました。
こんなド田舎村にも関わらず、初めてのお引越しにチェリィのテンションは急上昇です。
「さぁチェリィ、まずご近所さんに挨拶に行かないとね」
一人で盛り上がっている所へお母さんがやってきました。せっかくのテンションを止められてしまい、チェリィはむくれます。
「今は他にやることがあるんだから、探検はまた後でね」
優しい声でそう言われてしまっては逆らうわけにもいきません。
ご近所付き合いの第一歩は元気な挨拶から。
そう自分に言い聞かせながらチェリィはお母さんについていくのでした。
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