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昔ここに勤めていた母エイミーにとっては見慣れた光景なのですが、チェリィの目に映るものはどれも「すごい」としか形容できないものばかり。
ほどなくしてお城の人達が集まってきて次々と母に話しかけてきます。
お母さんは人気者のようで、下働きの人達から高価そうな服を着た人達まで色々やってきました。
「よくいらっしゃいましたエイミー様。ささ、こちらへ」
優しそうな顔をしたふくよかな女の人の案内で、お城の奥にある大きな扉の前までやってきました。
扉の両脇には立派な鎧を身に着けた兵士さんが立っていて、部屋の中にも豪華な椅子に腰かけたおじさんがいました。
「おおエイミーよ待っていたぞ!」
「王様、お久しぶりです」
どうやらこのおじさんが王様のようです。
宝石のついた王冠を被り、もふもふなお髭をしたいかにもそれっぽい人です。
母は優雅な礼をとり、チェリィも慌ててお辞儀をしました。
「ほほう、その娘がそなたの子か!」
王様は朗らかに笑いました。
いきなり自分の話題を持ち出されてたのでさすがのチェリィも緊張してしまいます。
母はそっとチェリィの肩に手を置いて言いました。
「娘のチェリィです」
「は、はじめまして!」
「ははは、可愛らしい子だ。そう固くならなくてもよいぞ」
とても人のよさそうな王様です。
しかもチェリィのことを可愛いと言ってくれたので、この人はとても立派な王様に違いないと超個人的な理由でチェリィは勝手に確信しました。
「さてエイミーよ、きたばかりで悪いがちゃちゃっと本題に入るぞ」
「はい」
「と、思ったがそなたもみらくる村からここまで移動してきたので疲れているだろう。話は明日にして今日はゆっくり休むがいい」
「ありがとうございます」
という具合に手際よく客室へ案内されました。
今日はここでお食事をしてお泊りもするそうです。お城に泊まることができるなんてそれこそ夢のようでした。
まるでお姫様になったみたいだと、チェリィはとても大喜びするのでした。
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