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チェリィはちょっと誇らしい気持ちになりますが、マグは沈痛な様子でした。
「実はあの事件でエイミー様のご主人、チェリィちゃんのお父さんが、その、とても遠い所へ行ってしまってね」
「お父さんどこかに行っちゃったの?」
「ええ、もう二度と会えなくなってしまったの。エイミー様は今でもそのことを悔やんでいらっしゃるわ」
チェリィは考えました。
自分には父の記憶はありませんが、母にとってはそうではありません。きっと二人は素敵なラブロマンスの末に結婚したのでしょう。
詳しい事情はわかりませんが離れ離れになってしまったのだから、母はとても寂しい想いをしているに違いありません。
「そっかぁ。あたしだってお母さんがいなくなったら悲しいに決まってるもん。だからお母さんはあんな顔してたのね」
マグの説明をどうにか自分の中で消化してチェリィは納得しました。
母は大切な人達を傷つけてしまったと言っていましたが、きっとそれは父のことだったのでしょう。
「ところで今日はいいお天気ね、今から町に行ってみない?」
「いく!」
チェリィは大喜びで返事をしました。
母と一緒にお出掛けができないのはとても残念でしたが、代わりにマグが連れて行ってくれるのです。
久しぶりに城下町でのひと時を楽しむことにしました。
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