第三章

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四 「満井、おはよう。今日の四限、休講らしいな。大学からのメールに書いてあった」  通っている大学で行動を共にしている飯田(いいだ)に、電車内で会った。彼の髪は、毛先に若干緑が入った茶色っぽい色をしている。そんな彼に、僕も「おはよう」と返した。  朝の電車内は満員。立っている僕たちは、周囲に今にも押し潰されてしまいそうだった。一限から講義がなければ、とついつい考えてしまう。 「四限は文学か。三限が終わったら帰れるね」  今日の講義が別日に移動してしまうが、今日の四限が休講なるのは、正直ありがたい。締め切りが迫っている課題が、まだ完全でないため、それに取り組む時間が生まれたのは嬉しく思う。ほぼ毎日生徒の授業をしている僕は、隙間時間を見つけて試験の勉強をしたり、レポートを書いたりしている。  普段は四限まで授業が終わると、すぐに駅に向かう。四限終了時間は午後四時十分で、駅までは急ぎ足で二十分程度だ。     
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