医食同源

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 全回復と手料理で、仕事の質が上がる。そんな、「仕事の調子も体調次第」と言う事実を、ぼんやりと考えながら昼食を摂る。勉強もそうだが、適度な休憩と気分転換がその効率を左右する。しかし、幾ら働き方改革が叫ばれようと、休むに休めない空気は存在する。ワーカーホリックはワーカーホリック、緩く働きたい人は緩く働く。国によっては叶うのに、滅私奉公なる言葉がある国では望みは薄い。  会社によっては、昼寝も許されるらしい。だが、そのウリは往々にして「入社したら違った」となる。有給休暇が、なんだかんだで消化出来ないのも同様だ。サービスはされたら嬉しいが、する側の体力にも限りがある。残業にしても、働いた分が払われるなら良い。ところが、非効率な仕事で時間を伸ばし伸ばしにした先輩方のツケで、「残業する奴は無能」なんて考えもある。単純作業ならいざ知らず、顧客次第の仕事は残業の理由が理由だ。ただでさえ振り回されて疲労するのに、無茶な要求を飲むために無理をする。しかし、受け入れなければライバル社に持って行かれ、それで会社が潰れたらどうにもならない。「雇用を水増しして平気な、他社と競争のない無能集団」とは違うのだ。三揃えのスーツに黒帽子のセールスマンが、あの集団に持たざる者がした体験を延々夢で見させてくれれば良いのに。  食べ終わった弁当の蓋を閉じ、大きなゴミ箱へ捨てに行く。デスクにもゴミ箱はあるが、邪魔にならない小さなサイズ。ちょっとした運動も兼ねて、大きさのある弁当の空箱は大きなゴミ箱に捨てる。そして、その足で珈琲を一杯。熱くて飲めないフリをしつつデスクから離れる時間を伸ばし、歯磨き代わりにクチュクチュし、色々スッキリさせてからデスクに戻る。  程良い休息が効率アップに繋がるならば、これで幾らかは良くなるだろう。なる筈だ。
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