医食同源

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「仕事だ。変身しろ」  食休みが欲しかったが仕方ない。アイツに逆らうのも面倒なので、何も言わないで変身する。そして、有無を言わせぬ転移魔法。今回は、暗いアパートらしい。あと、とにかく臭い。オソマの中に混ざるピザとお菓子の匂い。腐った卵の中に脂っこい匂いと牛乳系統の吐瀉物の匂いが混じり合い、目鼻喉にダメージを与える例えようの無い刺激的な匂いもある。  足の下には、湿った何か。あと、何かがカサカサいっている。暗くて分からないが、多分ゴキ。謎の生き物は、何故か知らないがほんのり光っている。まるで、ファンタジーに出てくるキノコのように、青系にほんのり光っている。 「今回は楽だ。画面しか見えてない」  ほんのり光りながら移動する生き物。触手は、天井にくっつけて移動することも出来るようだ。  移動する最中、何か柔らかいものを踏みかけた。そして、掠れた小さな声。嫌な予感しかしないが、足元を見ても暗くて分からない。 「あれあれ」  柔らかいものを避ける様に歩き、謎の生き物が指す方向を見た。青白い光に照らされ、丸まった背中が見える。その背中をアイツは指している様に見えた。 「グロリア、グラタン、エビドリア!」  背中に向かって何かが飛び、何かに貫かれた当人は横に倒れた。それにより、ディスプレイの光が部屋を照らし、アイツが駒を回収する様子もまあまあ確認出来る。 「仕事完了だ」  そうして教会に飛ばされ、流れ作業で全回復。今回の駒は、初回の駒色と同じに見えた。
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