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後は蛍に導かれて小高い丘を目指す。
ふと、私の右手に一匹の蛍が止まる。
それは小さな宝石に見えた。
それから丘に頂上に着いたけど疲労感は感じてない。
この時にやっと夜目が慣れたのだろうと、空を見上げる。
すると、そこには満遍なく輝く星々があった。
私は丘の上に寝転がり、安心感に浸りながら星空を見ていたら、その奥にある星の川が見えた。
これを人は天の川というらしいが私は違うと確信を持っていた。
ちゃんとした名前があるのにそれが言えない…………まるでそれを言ったら自分が消えるような思いになった。
だから、私は思わず蛍が乗っている右手を伸ばした。
それでも蛍は離れない…それでも構わず空に浮かぶ星を掴もうとした。
「もう少しで……」
なんて呟いても星は手に入ることはできない。
でも、それを見かねたのか周りの蛍達が一斉に私の周りに寄ってきた。
「心配、かけちゃったね」と詫びを入れてから右手を下ろした。
その瞬間、自分の手に止まっていた蛍が離れた。
真夜中は不思議なものだ。
だって、人はこの時間を嫌うからだ…
やれ、神隠しだとか妖怪に食われるだとか
そして、蛍もその一部じゃないかって疑う人がいる。
それはなんでっかって?
人魂………だって…
私はそんな風に思わない。
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