仔猫と野ねずみ

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「じーちゃんていくつなの?」 「わしゃ仙人じゃからな」 「せんにん?」 「沢山生きとるやつのことじゃ」 「ふうん」  そう言ってじーちゃんはぼくのえさを食べた。これはじーちゃんのご褒美なんだな、うん。  それからまた、いつものようにじーちゃんは毎日来てぼくのえさをちょっとだけ食べて帰っていく。  ときどき、お昼寝してるときもあるけど、飼い主さんが帰ってくる前にちゃっかり起きてタンスの裏に入っていった。  そしてまた、じーちゃんが来なくなった。ケージに洗濯ばさみが挟まれちゃったんだろうか。もしかして洗濯ばさみが増えたのかな。  そんなことを考えていたら、二十日くらいがたった。今度こそ、ほんとうに飽きちゃったのかな。  飼い主さんが大人しいぼくを気遣って頭を撫でてくれてたとき、玄関がピンポンてなった。誰か尋ねてきた。誰だろう、知らない男の人だ。
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