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すり、とケイが僕の肩に額を押し付ける。僕はくせのある髪を撫でた。
「ケイ、くすぐったいよ」
「……ふふ」
笑いながらぐりぐりとケイは頭で僕を押す。重みで僕はソファーに背中から倒れた。
「ケイ!」
「悪い。けど……。幸せだなって」
優しい目をしたケイが、僕を覆うようにソファーに膝を立てた。重みでぎしりとソファーが軋む。僕は床に下ろしていた足をケイの方に向けた。片足だけ、ソファーに乗せる。
「狭いよ」
「その方がくっつきやすい」
「……ここ、明るいし……」
「じゃあ、ちょっとだけ」
キス。
さっきのとは違う、深くて長いくちづけ。
僕は上手く呼吸が出来なくて、ケイの胸を押した。
「……っは」
「ソウタ、足りない……」
「ん……」
息継ぎもそこそこに、またくちびるが重ねられた。
舌が、絡まる。
どこにも行かないと分かっているのに、どこにも行かないで、と追いかけあう。
僕は両腕をケイの首に回した。ケイの手が、僕の頭を撫でる。髪が乱れるのが自分でも分かった。そんなこと、今はどうでも良い。夢中で僕を求めるケイに答えるように、僕も絡めた腕に力を込めた。
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