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「っ……。ケイ、そんなに付けなくても……」
「嫌?」
「嫌とか、そういうんじゃなくって」
「昨日の跡、まだ消えてない」
すい、とそこを指でなぞられた。
「く、くすぐったい」
「でも消えそうだし……」
「ちょ、ケイ!」
同じ場所を強く吸われる。
「う……」
「……歯形凄いな」
「ケイが付けたくせに」
「ソウタが噛んでって言った」
思い出して赤面する。昨日の僕は普通じゃなかった。
まだ消えない歯の跡を舐められる。ひゃ、と声が漏れた。
「俺の跡でいっぱいだな」
満足そうにケイが言う。
「……もう増やさなくても、僕はとっくにケイのものだよ」
「知ってる。俺もソウタのものだから」
昨日聞いた気がする言葉だ。
僕たちはつがいになれた。けど、もしなれなかったとしても、僕とずっと一緒に居ると言ってくれた。そのことを思い出すと頬が緩む。いつだってそうだ。ケイは僕の欲しい言葉を与えてくれる。
僕たちの選択が正しかったのか間違っていたのかは分からない。でも、今、僕は、僕たちは幸せだ――。
「ケイ、下も脱がせて……」
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