6

8/10
前へ
/57ページ
次へ
「っ……。ケイ、そんなに付けなくても……」 「嫌?」 「嫌とか、そういうんじゃなくって」 「昨日の跡、まだ消えてない」  すい、とそこを指でなぞられた。 「く、くすぐったい」 「でも消えそうだし……」 「ちょ、ケイ!」  同じ場所を強く吸われる。   「う……」 「……歯形凄いな」 「ケイが付けたくせに」 「ソウタが噛んでって言った」  思い出して赤面する。昨日の僕は普通じゃなかった。  まだ消えない歯の跡を舐められる。ひゃ、と声が漏れた。 「俺の跡でいっぱいだな」  満足そうにケイが言う。 「……もう増やさなくても、僕はとっくにケイのものだよ」 「知ってる。俺もソウタのものだから」  昨日聞いた気がする言葉だ。  僕たちはつがいになれた。けど、もしなれなかったとしても、僕とずっと一緒に居ると言ってくれた。そのことを思い出すと頬が緩む。いつだってそうだ。ケイは僕の欲しい言葉を与えてくれる。  僕たちの選択が正しかったのか間違っていたのかは分からない。でも、今、僕は、僕たちは幸せだ――。 「ケイ、下も脱がせて……」
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

715人が本棚に入れています
本棚に追加