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「ケイ、重い」
「悪い悪い」
ケイが僕の中から抜かれた。
後始末をする背中を僕は見つめる。
「お待たせ」
寝転んだままの僕を抱きしめながらケイが言った。
「眠い?」
「あんまり……。ごはん、まだだし」
「そう言えばまだだったな。よし、今日は俺が何か作ろう」
「……大丈夫?」
「大丈夫に決まってるだろ……。たぶん……」
ふふ、と笑い合いながら額と額をくっつけ合った。
「ここよりちょっと広めの寝室が良いな」
「引っ越し先?」
「そう。もうちょい大きいベッド置きたい」
「新しい部屋でも一緒に寝るの?」
「……嫌?」
「ううん。嬉しい」
僕は顔を離して、ケイの胸に頬を当てた。どきどき、と心臓の音が聞こえる。
これから、どんな生活が待っているのだろう。
すぐに部屋は見つかるだろうか……。一緒に生活するということは、ぶつかる回数も増えることになるかもしれない。けど、僕たちならそんなこと乗り越えていける――。そんな自信があった。
ケイも同じ考えかな。僕は顔を上げてケイを見た。目が合う。キスされた。
「これからもよろしくな、ソウタ」
「……うん!」
ほら、ケイはいつだって、僕の欲しい言葉をくれる――。
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