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僕たちがつがいになって、数年が経った。
ケイは相変わらずエリートの道を進んでいるし、僕は大学の講師になった。僕も頑張らないと……!
あれから先生に貰った薬は認可され、アルファ同士のカップルも珍しくなくなってきた。
お互いの両親に挨拶も済ませて、僕たちは今まで通り平和に暮らしている。いつかマイホームを建てるのが新しい夢だと、引っ越して早々にケイは言っていた。
僕のうなじには、消えずに残ったケイの歯形がある。
つがいの、あかし。
僕は無意識にそこに触れる癖が出来てしまった。何というか……幸せな気分になるから。それをレンにからかわれては赤面する。そんな毎日だ。
今日は、ケイが早く帰ってくる日。だから、カレーを作った。お互い時間がある時はカレーを食べるのが習慣になっている。健康のことを考えて野菜は多め。
「ただいまー!」
ケイが帰って来た。僕は玄関に駆け出す。
「おかえり」
「ただいま……。疲れたー」
ケイは僕を抱きしめる。これも何年経っても変わらない。
「……今日はカレー?」
「うん」
「やった! すぐに着替えるから!」
変わらない笑顔でケイが言う。幸せだ。
僕は目を閉じてキスをねだった。
ふふ、とケイが笑う気配。
重なるくちびる。
嬉しい。ケイ、大好き。
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