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斬り込むためのきっかけが掴めない。
時間だけが過ぎていくから焦る。
どうしたらいいか。
このまま村木の間合いに入り込んでしまえば一瞬で片がつく自分が想像出来てしまう。
だから自分から行けない
だから、焦りばかりが募っていく。
そんな感情がわかる。
「佐々木、来ないのか?」
「っ。このまま行けばお前に斬られる自分が
想像出来るよ。村木」
「そうか。
なら、俺から行かせてもらうぞ。」
その言葉を合図に、村木は走り出して佐々木に
遠慮なしに斬り掛かる。
木刀同士がぶつかり合う音と
村木と佐々木の呼吸
激しい床の上を移動する足さばきの音
それだけが響く。
誰もがその試合を固唾を飲んで見ていた。
「・・・。」
土方の思った以上に村木は動く。
一番組隊士の佐々木に緩急をつけた攻撃をうまく使って翻弄している。
時には己が引いているような行動を取り
時には敵の意表をつくような攻撃を仕掛ける。
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