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「あ。巡察お疲れ様、一君。」
「あぁ。」
手をひらひらと軽く振る沖田に、それだけを返す
誰もが冷たい態度だと思うだろうが
斎藤の元々の性格ゆえ、これが普通だとかつて
同じ試衛館の食客だった人間は知ってる。
土方を見る斎藤は何かいいたげな様子で気づいた男は
どうしたのか。
と、問いかける。
「副長、一つだけお伺いしたいことがあります。」
「なんだ斎藤。」
「今回の任務については理解しました。
ですが、副長が村木に対して危険視する理由が
俺には思いつきません。」
「危険視・・・か。
確かに、危険視ってのが正しいか。
分かっているともうが
¨こっち側¨か¨あっち側¨
早めに決めなきゃあならねぇ。
さっきも見た通り村木・・・アイツ自身の実力は
馬鹿にできない。」
「土方さん、ハッキリ言っちゃいましょうよ。
村木君がまだ、実力を隠してるって」
「総司。」
「事実でしょう?
面白いですよね、村木君。実力を見せているようで
見せていない。
見せすぎるわけじゃないのに、きちんと線引きが出来てる。
そんな、刀の使い方。
一君が見たらきっと、面白いって思うはずだよ。」
「・・・・・・。」
「総司の言ってることは、頭の片隅に入れておけ。
斎藤、監視しろ。
なんのために、中途半端な実力を出すのか。
実際は、どれくらいの力があるのかをな」
「御意。」
「あと、アイツが言うことは俺が監視を解くまでは
念の為だが、疑っておけ。
おそらくだが、村木は・・・・・・。」
食えねぇ男だ。
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