【2】 食えない男

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「あ。巡察お疲れ様、一君。」 「あぁ。」 手をひらひらと軽く振る沖田に、それだけを返す 誰もが冷たい態度だと思うだろうが 斎藤の元々の性格ゆえ、これが普通だとかつて 同じ試衛館の食客だった人間は知ってる。 土方を見る斎藤は何かいいたげな様子で気づいた男は どうしたのか。 と、問いかける。 「副長、一つだけお伺いしたいことがあります。」 「なんだ斎藤。」 「今回の任務については理解しました。 ですが、副長が村木に対して危険視する理由が 俺には思いつきません。」 「危険視・・・か。 確かに、危険視ってのが正しいか。 分かっているともうが ¨こっち側¨か¨あっち側¨ 早めに決めなきゃあならねぇ。 さっきも見た通り村木・・・アイツ自身の実力は 馬鹿にできない。」 「土方さん、ハッキリ言っちゃいましょうよ。 村木君がまだ、実力を隠してるって」 「総司。」 「事実でしょう? 面白いですよね、村木君。実力を見せているようで 見せていない。 見せすぎるわけじゃないのに、きちんと線引きが出来てる。 そんな、刀の使い方。 一君が見たらきっと、面白いって思うはずだよ。」 「・・・・・・。」 「総司の言ってることは、頭の片隅に入れておけ。 斎藤、監視しろ。 なんのために、中途半端な実力を出すのか。 実際は、どれくらいの力があるのかをな」 「御意。」 「あと、アイツが言うことは俺が監視を解くまでは 念の為だが、疑っておけ。 おそらくだが、村木は・・・・・・。」 食えねぇ男だ。
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