【1】壬生浪士組

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【1】壬生浪士組

「・・・・・・・・・。」 最初に目に入ったのは美しい満開の桜だった。 ぼーっとしている彼がいる場所、今住んでいる屋敷 八木邸の近くにある壬生寺 どこか淋しさを感じさせる中で 桜に囲まれた中心にたっていることに気づく だが、何故か動こうとは思わない このまま幻想の景色に紛れていたいとさえ思う 「村木、そんなところで何してやがる。」 「・・・土方副長。」 桜の中に立っている男、村木を腕組みをしながら その鋭い瞳で見ている 「いえ、なにも。 ただ、桜の散るさまを見ていただけです。」 この人、土方副長。 本名・土方歳三 は、村木が所属している組織 壬生浪士組の副長という立場についている。 その冷たい瞳で、敵を容赦なくあの世へ屠り 目的のためなら何でもする鬼 それが京の都にすむ人間達の認識だった。 ________________
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