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沖田はそれは面白そうに笑っているが、何故なのか村木には笑っている理由が分からないからだ。
眉をわずかによせ、無言で沖田に先を促す視線を送るのだが・・・
サラッと流されてしまうので聞けずにいた。
「新八や、平助の所にいると巻き込まれるからだ。」
「え?斎藤組長、今なんて」
「だから巻き込まれると言った。」
途中で会話の中に入ってきた斎藤は、村木の問いかけに対して
ただ、巻き込まれると言うだけで村木自身が欲しい答えを言ってくれるわけではなかった。
さらに困った。
沖田はニッコリと笑い。
斎藤は口下手なのか何も言わない。
「大丈夫。
すぐに分かるから。」
「分かるって、何がです?」
「ん?本物の鬼の降臨。」
「本物の・・・鬼?」
鬼といえば、鬼の副長と呼ばれる土方ではないのか?
それ以外にこの浪士組に、鬼と呼ばれる人物が
存在しただろうか。
いや、村木が知らないだけで
もしかしたら京の町人が言っているのかもしれない
「あーほら。
見てみて村木君。1番怖い浪士組の鬼が降臨したよ。」
「は?」
「・・・・・・。」
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